story桃農家をめざして

結婚早々、10年間勤めた会社を辞め、知り合いのいない地で新規就農。
ユンボで山を切り開き、植えた桃は枯れ、イノシシに倒される。
人と地域を結ぶ桃園を目指して奮闘する杉原造桃園のこれまでとこれからのはなし。

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｢会社辞めて農家になる?｣

高校三年生まで時はさかのぼります。両親が離婚し、祖父母に育てられた私は大学進学を目指し勉強に励んでいました。介護関係に興味を持ち、進路を決めかけたとき、大黒柱であった祖父が他界。祖母への負担を考え、就職という選択を取ることにしました。

就職した三井造船では、全長200m、幅30mもの船の、船首と船尾に使用される鉄板を設計図通りに加工していく仕事につきました。時間的にも肉体的にもなかなかハードな現場でしたが、水とバーナーだけで頑強な鉄を自在に操り、それが一艘の船として仕上がっていく様はとても面白かったです。

10年間共に汗を流した同僚との一枚

また趣味のダーツ、ブラックバス釣り、野球などを気のおけない仲間と共に楽しみ、充実したサラリーマン生活でした。就職6年目に結婚。新しいスタートラインに立ちました。

未来への思いを巡らせながらの最高の一人時間

入社間もない頃、技術指導をいただいた方々の力作

順風満帆に見えたサラリーマン生活でしたが、リーマンショックの影響を受け2020年問題も控えた造船業界。転職への決意を一人あたためていた私は、結婚の2ヶ月後、妻に言いました。｢会社辞めて農家になっていい？｣