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story.4

「独立。桃で人と地域を結ぶ」

出荷前の桃

ゼロからの100本

謎の病気にかかった桃の木は抜くしかありません。根付いた苗木を抜き、整地し、もう一度植え直しです。

途方にくれていたところに、去年本数も決めずに頼むと声をかけていた育苗業者から100本の苗木が届くことになりました。最初の50本が元気だったら2年目の100本は多かったかもしれません。しかし、再びゼロ地点にいる私には、改めて仕切り直すためのちょうど良い100本となりました。

植え直し後の桃園
過去を忘れるほど懸命にスコップで掘り苗を植え続けた

2年目の独立。次はイノシシが来る

100本植え直した翌年1月。研修を終えて「杉原造桃園」として独立しました。退職して約2年後のことです。その夏には念願の初出荷。岡山の名産清水白桃は、贈答にも家庭用にも好評いただき、完売することができました。秋には第二子が生まれ、全てがようやく軌道に乗ってきたような手応えを感じました。

倒された桃の木
大きく育った木が根元から倒された。やり場のない怒りと悔しさがこみ上げる

初夏、苗木も大きく育って来て、いよいよ本格的な収穫が始まります。
収穫を目前に木の手入れをするのに山に入った時のことです。倒れかかっている木が目に入りました。イノシシです。

桃は通常、花や実を丁寧に選別し、栄養と甘みが十分に行くよう選んだ実にだけ袋がけをします。必要ではない実は全て落としてしまうのです。しかしどこかに見落としがあったようです。枝に残った桃の実をめがけてイノシシが桃の木に体当たりした後でしょうか。木はかなり痛められ、バランスを崩してしまっています。その数、約20本。また植え直しです。

人と地域を桃で結ぶ夢

育てた木が病気になったり、イノシシに倒されたり、スムーズとは言えないスタートですが、大きな夢に向かってくじける暇はないなと思っています。

一から育てた桃の木へ初めての袋掛け
一から育てた桃の木へ初めての袋掛け

私は知り合いのいない土地で新規就農しました。一番大変だった、「農地探し」「農地の整備」は、今後もIターン、Uターンなどで新規就農したい方にとって高いハードルだと感じています。高齢化に伴い、農業の担い手を求めており、様々なサポート体制はありますが、そのハードルが故に一歩を踏み出せない人もいるのではないでしょうか。

収穫前の桃
曇天か続いていた収穫期、久々の晴れ間に映える桃を目の前に思わずシャッターを切る

未経験の方が桃農家や果物農家として出発するために農地の確保、農園の整備の部分をサポートする方法があるように感じています。果物産業は、これから6次産業や海外進出の分野においても未来のある産業です。高齢化、過疎化の進む現状から、20代、30代の方が新規就農を生業として選択しやすい未来に向けて、環境や制度などより充実したサポート体制を整え、桃で地域活性していきたいと考えています。

杉原造桃園の新たな出会いや、農地のこと、仲間のことなど、これからも、HPに随時掲載予定です。どうぞお楽しみに!

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